こんなタイヤがあるとは衝撃的であった。
え?これ28cだよね?外周部重いよね?
なんでこんなに簡単に激坂でダンシング出来るの??なんでこんなに脚回せるの??

そう。泣く子も黙る高級タイヤであるコンチネンタルgrand prix 5000tt trを履いて
いつものホームコースの峠を始めて登ってみた時の感想である。

推進力が違うんよ。推進力が。
結論から言うと、こいつはリピート確定である。
あざす。

![]() | Continental (コンチネンタル) GRAND PRIX 5000 TT TR チューブレスレディタイヤ 価格:13600円 |

「GRAND PRIX 5000TT TR」とは

重量が軽い!
GRAND PRIX 5000TT TRはみんな大好きコンチネンタルのGP5000シリーズ史上最軽量のチューブレスモデルだ。
レースに必要な軽量さをを突き詰めつつ、通常モデル同様のベクトランブレーカーを採用することで耐パンク性能も高いというメーカーの触れ込みである。
そんなタイヤのスペックは以下の通りだ。

まず驚くべきは重量が非常に軽量になっている点だ。
一昔前はクリンチャータイヤと比べてチューブレスタイヤは重いというのが常識であった。
軽量なクリンチャータイヤとTPUチューブを組み合わせる足回りと比較すると、どうしても重くなってしまい、それがチューブレスを避ける理由の1つになってしまっていた印象を受ける。
しかし、今回試したGRAND PRIX 5000TT TRは重量面で一切のネガがない。
TT TRは25cで225g、28cで240gである。
対して、コンチネンタルのクリンチャーモデル(GRAND PRIX 5000)は25cで230g、28cで240gとなっている。
ん?28Cの重量一切変わらなくないか?
さらっと商品紹介ページに記載されているが、これはチューブレス業界において革命的な軽量化といえる。
(もちろん他メーカーを見渡せばさらに軽量なタイヤは存在するのだが…)

チューブレスタイヤの改良が最近すごいんよ!
転がり抵抗が…低い!
喜ぶのはまだ早い。
いくら数字的に足回りが軽くなっても、進まなければただのゴミタイヤだ。
タイヤの実質的な性能を考える上で、非常に大切になってくる指標が転がり抵抗になる。
転がり抵抗はタイヤが地面に接して回転する際に生じる抵抗だ。
簡単に言い換えると摩擦によってロスするエネルギーと考えてもいいと思う。
物理的にタイヤが地面と接する以上、必ず発生してしまうものだが
この抵抗が低ければ低いほど、タイヤは少ないエネルギーで転がってくれ、ライダーは少ない出力でバイクを進めることが出来る。
またタイヤに対して摩擦の負荷が小さくなるので、転がり抵抗が低いとタイヤが長持ちしてくれるメリットもある。
チューブレスって転がり抵抗が低いって言いますけど本当なんですかね?

いい疑問である。
よく一般論でチューブレスタイヤはクリンチャータイヤよりも転がり抵抗が低いと結論付ける方がいるがこれは間違いだ。
答えはタイヤによって変わるというのが実のところなのである。

bicyclerollingresistanceという上記サイトではタイヤごとの転がり抵抗をランキング形式に比較してくれている。
こういうメーカーのバイアスがかからない試験は貴重だ。
結論から先に言うと、GRAND PRIX 5000TT TRはトップクラスの低い転がり抵抗を示している。

上図が上位のランキングだ。
この試験では、以下の条件下においてタイヤの「転がり抵抗」と「耐パンク性」を測定している
どういう試験なのかを一応説明していこう。

試験方法は面倒くさい人は読み飛ばしてな!
【試験方法】
- 空気圧:4.1 / 5.5 / 6.9 / 8.3 bar の4段階
- 速度:約29 km/h
- 荷重:42.5 kg(搭乗者および車体の合計85 kgを想定し、片輪にかかる荷重として算出)
- 気温:21.5~22.5℃
- チューブ:Continental製『Race』ブチルチューブ(重量102g)を使用
【転がり抵抗の測定】
凹凸のあるドラム上でタイヤを回転させ、各空気圧下における転がり抵抗を測定
【耐パンク性能の測定】

1mm径のスチールニードルをタイヤに押し付け、刺し込むのに必要な力を計測。
この試験は「トレッド面(路面接地面)」と「サイドウォール(側面)」の2か所に対し、それぞれ5回ずつ、合計10回実施し、その平均値をもとに点数化。
点数は必要な力に比例しており、例えば10点は5点の2倍の力を要することを意味する。
試験結果
この試験においてGRAND PRIX 5000TT TRは7.6と7.2とトップクラスの低い転がり抵抗を示している。

ちなみにクリンチャータイヤで最も優秀なのは一番下のMichelin『Power Time Trial』である。
転がり抵抗は9.2、8.6でクリンチャータイヤで唯一10.0を下回ってきている。
表にはないが、GRAND PRIX 5000クリンチャーでは10.7、10.1という結果になっている。
しかも、クリンチャータイヤはTPUチューブやラテックスチューブに変えることで1.0は転がり抵抗を下げることが出来るだろう。
参考までにアジリストTLRは12.2、11.3とチューブレスなのに残念な結果となっている。
やはり並みのチューブレスレスタイヤでは優秀なクリンチャータイヤと比較してしまうと転がり抵抗で勝てないことが分かる。
データ上で言うならこれらのクリンチャーと比較して勝てる+入手が可能なチューブレスタイヤは
ビットリア(Vittoria) コルサとRAND PRIX 5000TT TRだけだということになる。
あざす。

実際に使ってみてのインプレ
ここからは実際に僕が使用してみた感想を挙げていきたい。
クリンチャーモデルであるgp5000との比較という形でインプレッションしたい。
チャートにするとこんな感じだ。

GRANDPRIX 5000TT TR
転がり抵抗 10点
振動吸収性 8点
ゼロ加速 8点
耐久性 7点
コスパ 7点

GRANDPRIX 5000クリンチャー
転がり抵抗 8点
振動吸収性 7点
ゼロ加速 8点
耐久性 9点
コスパ 8点
![]() | Continental (コンチネンタル) GRAND PRIX 5000 TT TR チューブレスレディタイヤ 価格:13600円 |

![]() | 価格:8400円 |

同じメーカーだけあって乗り心地というかタイヤの味付けは似ている。
どちらも一度スピードに乗るとスーッと足を回さなくても転がる心地よさがある。
両方とも非常に優秀なタイヤであるのは間違いない。
振動吸収性
チューブレスで空気圧を低圧に出来る分、振動吸収性はTT TRがやや勝ると感じるが、ラテックスチューブやTPUチューブと組み合わせたGP5000でもゴツゴツ振動を拾うという感じはしない。
どちらも快適にバイクを走らせることが出来る。

ゼロ加速
低速からの加速は体感的に違いは分からなかった。どちらも重ったるい感じはなくスッと前に出てくれる感じが好印象だ。
転がり抵抗
一番違いが分かったのがこの部分だった。
低速では感じずらかった加速感は高速になればなるほど
ペダルにトルクが掛かれば掛かるほど違いを感じる。
スプリント時
場面としては、スプリントを掛けた時だ。

脚を止めてもスプリントの余韻がいつまでも残り続けるように、ペダルを回していないにも関わらず速度がTT TRはしばらく落ちないのだ。
スピードが上がるほどタイヤが路面に接する機会が多くなり、結果として転がり抵抗の差を体感できるようになるのかもしれない。
これはロードレースのアタック場面や最後のスプリントに大きなアドバンテージになるはずだ。
ヒルクライム時
またダンシング時の加速も違いを感じた。

ヒルクライムでのダンシングでグッと体重を掛けると、自分がGP5000で経験していたいつもの感覚の2倍くらいバイクがスーッと前に出る。
ついついダンシングを多用したくなってしまう気持ちよさがある。
これはどんな斜度でダンシングしても感じることが出来た。
体重を掛けるだけで推進力を維持できる。
いわゆる体重を乗せるだけの休むダンシングで、強力な推進力を手に入れることが出来るのだ。
また、ケイデンスが低回転でもトルクを掛けやすい。

私は普段のヒルクライムにおいて平均ケイデンスが90前後に落ち着くのが多いのだが
ケイデンスをあえて10落として、トルクを掛ける登り方をしてみるとかなり感触が良く、タイムも悪くなかった。
ケイデンスを落としても次のペダリングが始まるまでにバイクの失速が最小ですむ印象を受けた。
トルクを掛ける場面が、転がり抵抗の低さが際立つ場面なのかもしれない。


TT TRを使うことで、序盤はケイデンスを意識、後半で心拍がしんどくなってきたらトルク中心に切り替えるなど、
自分の心拍の調子と相談しながら登り方のバリエーションの幅を広げることが出来る。
もしくは、コースによってトルクを掛ける登りに切り替えたり、ダンシングを多用したりすることで、その日の体調に合わせた走り方をすることが出来る。

クライマーにとってこれはメリットがでかい。
自分の限界と向き合うことになるロングヒルクライムで特に有利になると感じる。
実際に、約1時間のロングヒルクライムであるJBCFおんたけヒルクライムにおいて、
後半で疲労と酸素が薄くなってケイデンスを維持できなくなった際に、ダンシングを多用するスタイルに切り替えた。
後半になっても失速を最小限にすることで、マスターカテゴリーの3位に入ることが出来た。
まさしく機材ドーピングというやつだ(笑)

断っておくがGP5000が進まないタイヤということはない。
以前書いたAGILISTとの比較インプレではGP5000の良さを十分に感じた。
GP5000が優秀なゆえ、TT TRに変えたとしても体感的にそこまで分からんやろと鷹をくくっていたのだが、この2点は明確に違いを感じて正直驚いた。
TT TRの良さは一言でいうと推進力。
転がり抵抗って大切なんやなと素直に思えた。
TT TRのこの進む感覚はクリンチャーでは、もはやたどり着けない領域なのかもしれない。
一回試すと他のタイヤ履かれんくなるかも・・・

耐久性
コンチネンタルgrand prixシリーズは耐久性に優れたモデルだと個人的に考えている。
GP5000の優秀さを書いた記事があるので読んでみて欲しい。
人気記事のひとつだ。
GP5000のクリンチャーモデルを長らく愛用していたが、ほとんどパンクに見舞われた経験はない。
この安心感は僕がgp5000を愛用していた大きな理由の1つである。
TT TRもその頑丈さを引き継いでいるようで、半年間の使用で距離も数千㎞以上は乗り込んだが、パンクは大きな石を踏んでしまった1度だけだ。
シーラントをケチらず30ml以上入れれば、出先やレース中に走行不能になることはほぼないと言える。
あと、最近気づいたのだが、組み合わせるシーラントによってもパンクリスクはかなり変わると思う。
シーラントをマビックからマックオフに切り替えてから、空気の抜けが目に見えて穏やかになり、ノーパンクになった。
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チューブレスを使用する際はマックオフのシーラントを推したい。
次にタイヤがどれくらい長持ちするかだが、僕の場合は5か月でタイヤのスリップサインが平らになった。
ほぼ同じタイヤで練習もレースもガンガン出ていたことを考えるとTT TR でもあってもGP5000と同等の耐久性があると言える。
他のチューブレスタイヤは使用したことはないが、個人的にGP5000譲りのTTTRの耐久性には非常に満足している。
コスパ
TT TRの価格は高い。流石ハイエンドタイヤだ。
2025現在の実売価格で1本1万円を切ることはない価格だ。
改めてロードバイク用品って高い…。
ただし、上述したようにこれだけ推進力があって耐久性があるチューブレスタイヤは他にないと感じる。

そう考えると中途半端なものを買ってパンクして萎えるよりも、こいつを寿命まで使い切るほうが結果的に価格分の価値を享受できるのではないかと思う。
特にチューブレス専用のホイールを使用している方は、一度試して欲しい。
多分他のタイヤは使えなくなる(笑)
価格は高くてもその価格に応えてくれるだけの性能を持っている。
値段は張ってもコスパはいいと思う。
私は練習もレースもこれ一本で走り回ろうと思う。

まとめ
- スプリントなどの高速域で速度維持しやすい
- ダンシング時の推進力が異次元
- 低ケイデンス高トルクのペダリングが特にしやすくなる
- あらゆるホビーレーサー(特にヒルクライマー)
- チューブレス運用している人、あるいはチューブレスに移行を考えている人
まとめにいこう。
このタイヤは正直、レースをする人全員におススメできる。
客観的なデータ的にも、実際に使用してみても弱点が見当たらない。
練習、レース問わずあらゆる場面でタイヤを1本選ぶならこれ1択の気がする。
ヒルクライム、ロードレース、クリテリウム。
一度使ってみて良さを体感出来たら
日本で開催されているどんなレースでも自信を持って投入できるはずだ。
値段は張るが是非使ってみて欲しい。
今までのタイヤとは違う推進力を体験できると思う。
それではまた。

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